色が入らないようにするための糊置き
糊置き?糊置きってナニ?っておもいますよね。私もこの仕事を始めたとき、全く同じことを思いました。
糊置きとは
簡単にいうと糊置きとは、iPadバッグの柄や生地に色を付ける際、色を付けたくない部分だけを隠すマスキングのことをいいます。色を付けたり柄を描いたりすることのない糊置きは、手描き京友禅の中では、一番目立つことのない工程の一つです。
しかし、糊置きの工程が無ければ「柄の色付け」が出来ないので、とても重要な工程になります。
糊置き工程の流れ
では、どういうふうにして作業をするのか見ていきましょう。
糸目(いとめ)糊置き
まず始めに生地の下に、この前の工程で描いたiPadバッグの下絵(デザイン)の紙を置きます。その後、生地の上に糸目(いとめ)糊で柄の周りや線をなぞっていきます。線が太くなっては不細工なので、細い線を引く時は、先の細い筒を使います。
「すごい簡単そう!」とおもいますよね。でもiPadバックの生地には紋が織り込まれているため、とても凸凹しています。
長年の経験がないと、直線はもちろんカーブを描く時に、その凸凹のせいで引っかかったり歪んだりしてしまいます。
糸目糊置きが完了。糸目糊は色を付ける友禅(色挿し)の工程で、色が混ざらないようにする堤防の役割を果たしてくれます。
これがないと色がまざってめちゃくちゃになってしまうんです。
伏せ糊置き
伏せ糊置きは、iPadバッグに背景色を付ける引き染めの工程で、柄の部分には色が付かないようにするマスキングの役目を果たします。
糸目糊の上に沿って、伏せ糊を置いていきます。一番始めは柄全体の周りを、細めの先の筒で囲んでいきます。
囲むだけの作業でもかなり大変そうです。集中力が必要ですね。
ある程度周りを細い先の筒で囲んだら、次はその中を大きな先の筒で糊を置いていきます。
糊置きをする職人は、そのデザインに合わせる必要があるため、多くの種類の筒を持っています。
糊が微妙に置けていない箇所もあります。そういった箇所は、最初に使った細い筒で調整。
全ての柄に糊が均一に置けました!
この後、伏せ糊の上に、挽粉(木材を製材する時に出るおが屑)をかけ、乾燥させます。
挽粉は、糊の表面を保護したり、この後の引染や蒸しの工程で、糊が柔らかく戻った場合に起こる、打合い(生地に触れて色が別の箇所に付着すること)を防ぐために付けます。
乾燥すると、こんな感じになります。これでこの後、背景色を染めても、この糊が置かれた所には色が付くことはなくなります。
縁の下の力持ち、糊置きのご紹介でした!
京の職人が手で作ることにこだわった、着物/浴衣を着る時にも洋服を着る時にも合うiPadバッグ。あなたも一度手にしてみませんか?